セルフネグレクトからゴミ屋敷、そして孤独死へと陥らないために
セルフネグレクトからゴミ屋敷、そして孤独死への負の連鎖を断ち切るためには、まずその原因を知る必要があります。また、この問題はいまや高齢者だけでなく、若い世代にも広まりつつあるという事も無視できません。
さまざまな社会背景から、もはや他人事と言ってはいられないほどの問題となっています。なぜ、これほどまでに悲しいな状況が生まれてしまうのでしょうか。ゴミ屋敷や孤独死の原因となるセルフネグレクトについて、今回は詳しくご説明いたします。
セルフネグレクトから孤独死に陥る背景
ゴミ屋敷での孤独死といったニュースを見聞きした際に、私たちは「どうして周りが気付いてあげられなかったのか」という疑問を抱いてしまいがちです。
しかし、実際には「そもそも当人が助けを求めない」「手助けを拒否する」といった理由から問題へと発展することが多くあります。「セルフネグレクト」に陥る要因は大きく2つに分類されます。
認知症や精神疾患により、セルフネグレクトとなるケース
本人の意思によって、自覚せずセルフネグレクトとなるケース
この場合、どちらも周囲への救済や援助を自発的に求めることが難しく、その問題が表面化した時には、状況が深刻化していることが多くあります。
若い世代にもセルフネグレクトによる孤独死が増えています
そしてここで驚くのが、こうした孤独死が高齢者だけでなく若い世代にも増えているという事です。
「ニート」や「引きこもり」という問題がここで新たに関係してきます。義務教育の途中で不登校になり、そのまま大人になった若者は社会と関わりを持たず、親の保護のもとで何年も過ごします。インターネットの普及で自分の世界に閉じこもり、人とコミュニケーションを取らなくても生きていける環境が整っていることも、こうした事態に拍車をかけています。やがて親は年老いて亡くなってしまいますが、残された子供はどうなるでしょうか。
そこから急に就職し、生活を一人で立て直すというのはそう簡単にできることではありません。また、それまで順調に進学・就職をして社会人となっても、仕事でストレスを抱えたり、恋愛関係でうまくいかなかったり、思いがけない失職や親の死などセルフネグレクトに陥る要因はいくらでもあるのです。
彼らも高齢者と同じように、自分の生活や人生を放棄してしまいます。生きていることに何の意欲ももてず、アルコールなどへの依存症にまで発展してしまうケースもあります。ここまでくると、悪い流れを止めることは容易ではありません。
雪だるま式に悪化の一途をたどり、ハエやゴキブリと共に悪臭の中で生活していることすら気にならなくなります。菌が充満した空間での生活は慢性的な下痢を引き起こし、部屋の中は凄まじい状況です。人生の大部分をこうしたゴミ屋敷で自分を貶めた生活をし、ひっそりとその命を閉じていくことになってしまうのです。
セルフネグレクトによる孤独死を防ぐために
セルフネグレクトによる孤独死を防ぐためには、周囲の人々の協力、そして行政や自治体による支援が不可欠です。実際に生活支援センターの介入でセルフネグレクトのおおよそ6割の人が生活を改善し、施設に入居したり、再出発を図っています。
しかし、残りの方たちは第三者の介入を拒み、いまだにゴミ屋敷での生活を続けています。そうした人たちに再び生きる意欲を持ってもらえるよう、「働きかけることをあきらめない」ということでしか、孤独死を防ぐことはできません。いい意味で「おせっかいを続けるコミュニティー」の形成が必要とされています。