辛い悩み「ゴミ屋敷の掃除・片付けができない」という方へ

テレビでもたびたび取り上げられ、社会問題となっているゴミ屋敷。「なぜ片付けられないのか」と他人事のようにお考えの方も油断は禁物です。ふとしたきっかけで、自分の住まいや実家がゴミ屋敷と化すという事例は少なくありません。この記事では、ゴミ屋敷が片づけられない辛い悩みの原因と解決策をご紹介致します。

「捨てられない・片づけられない」方たちの原因と辛い心理

「捨てられない・片づけられない」といった深い悩みをお持ち方たちの心理には、ある程度共通した心理が働いています。

物を大切にするがゆえに捨てられない

年齢が高い人ほど「もったいない」という理由で物をため込む傾向が強く、物を捨てることへの罪悪感に支配されています。また、それまでの人生の思い出への執着から物を手放せなくなるといった原因も関係があります。物が不足していた時代に育ったご年配の方は、持っていることで得られる安心感から捨てることができないといった傾向が多く見られます。

強いストレスから意欲を喪失してしまう

日々の仕事や日常で受ける重圧や強いストレスから、住居のメンテナンスにまで意識がまわらず、次第にその状態が当たり前となりゴミ屋敷に陥るという例も少なくありません。また、性格が真面目な方や几帳面な方、また、神経をすり減らすような責任の重い仕事をしている方ほど日々精神を消耗し続け、やがて自分のケアが出来なくなるといった傾向も見られます。通常の神経であればゴミや汚れが気になるところですが、次第にその状態に慣れてしまい、やがて片付ける意欲まで喪失してしまうといった負の連鎖が起こります。

精神的なショックから立ち直れない

身内や親しい間柄の方との死別・離別、また、失職や失恋などで心に深い傷を負ったことが原因で鬱状態になり、自宅がゴミ屋敷となってしまう例もあります。社会とのつながりを持つ気力も失われ、人生を前向きに捉えられないといった辛い状況は、配偶者を失った孤独感を持つ高齢者だけではなく若年層にも見受けられます。こうした孤独感や不安といった現代ならではの人間関係の希薄さが、ゴミ屋敷の根底部分に巣食う原因の1つでもあります。

片付けができない方への対応策

ゴミ屋敷であるにも関わらず日常の生活を送っている方の中には、意外にも「ゴミの中で生活をしている」という自覚がない方もいらっしゃいます。どれもこれも自分にとっては捨てることができない大切な物なので、周囲の人に「ゴミ」扱いされることに敏感に反応します。

物をため込んでいることを非難しない

「なぜ捨てないの?いつ捨てるの?」などと責めることは逆効果となります。当人にとっては価値のあるものなのだということを理解しましょう。「今すぐは使わないから一時的に保管しておこう」といった提案をしてみることが、悪い循環を変えるきっかけになります。

片付けると生活がしやすくなることを体感させる

物に囲まれて生活している方は、何がどこにあるのかを全く把握していないことが多くあります。そのような場合、同じものを何度も購入してしまうという結果につながり、物が増え続けることもあります。例えば、台所や風呂場といった狭いスペースを試しに片付けてみてください。物が少ないとこんなに簡単に使いたいものが取り出せるとか、同じものがこんなにあったという発見をすることができるでしょう。

発達障害や認知症の可能性も視野に入れる

何度言っても聞く耳を持ってくれない、ますますひどくなるという場合は発達障害や認知症などの精神疾患の可能性もあります。よく見られるのがADHD(注意欠陥・多動性障害)やアスペルガー症候群、統合失調症といわれるものです。ADHDもアスペルガー症候群も脳に障害を持っていることで色々な症状が出ます。不注意や集中力のなさ、一つの作業しかできない、同時に複数のことができないなど様々です。綺麗好きだった人が急に掃除や入浴をしなくなったり、部屋の様子が明らかに変わってきたら統合失調症や認知症を疑ってみることも必要です。

ゴミ屋敷を片付ける現実的な方法

長い年月をかけて作り上げられた「ゴミ屋敷」ですから、片付けるのにも相当の覚悟が必要です。まずはすぐに取り掛かれる内容をご紹介致します。

ゴミ袋を用意する

当たり前の事ですが、まずは生ゴミや紙くず、ペットボトルなど明らかにゴミと分かるものを袋に入れて処分しましょう。衣類、書籍類、粗大ごみと段階を踏む必要がありますが、まずは手近なゴミから確実に処分していくことが大切です。

玄関を綺麗にする

ご自宅の玄関周りには、生活において重要度の低いものが置かれがちになります。そのため、大方のゴミ類が片付いたら、まずは玄関から手を付けていくことをおすすめ致します。そして、順にトイレ、風呂場、台所、と生活必需品が少ないエリアから掃除していくことで、当人のストレスも少なくなります。

足元の床が見える状態にする

ゴミで覆われていた床が見えた時の部屋の変化、片付けの達成感を重ねていくことで、「部屋を綺麗にしたい」という気持ちに拍車がかかります。「一日で終わらせよう」と急激な変化を求めるのではなく、ある程度長い目で計画的に行うことが成功へのコツともいえます。

専門の業者に依頼する

ゴミ屋敷の清掃は精神的な理由だけではなく、もちろん体力的な問題もあります。また、ゴミ屋敷の状態が長く続くと、害虫の発生やにおいの消臭といった問題が付随することもあります。

このような場合、市販の殺虫剤や消臭剤だけでは対処できないばかりか、適切な量を超えた薬剤を散布した場合、健康への甚大な影響を及ぼす可能性もあります。プロのゴミ屋敷清掃業者は、単にゴミの撤去・処分だけではなく、人が住む環境を考慮して適切な施策を行います。安易な判断では逆効果になることもありますので、注意が必要です。