孤独死・自殺・事件現場の現状回復に必要な特殊清掃とは?

孤独死や自殺率が社会問題化している昨今、利用される機会が急増している「特殊清掃」をご存知でしょうか?テレビなどで紹介されることも増えてきた特殊清掃業ですが、その業務内容や料金基準などについて疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

今回は現場の復旧における特殊清掃の必要性や、ご遺族や物件オーナー様を悩ませる業者選びのテクニックについて詳しくご説明いたします。

特殊清掃とは?

不幸にも誰にも看取られず、発見が遅れてしまったご遺体は日を追うごとに腐敗が進行し、血液や体液が体外へ漏出していきます。

そのようなご遺体のあった現場を現状回復するために、徹底的に清掃することを「特殊清掃」といいます。

ご遺体は放置されたままでいると、異臭騒ぎや害虫の大量発生などの近隣トラブルにまで事態が発展する可能性があります。また、細菌の増殖といった健康を脅かす危険性も内包しています。

このような状態の室内を清掃し、復旧をサポートするのが我々のような特殊清掃業者です。

特殊清掃業者の清掃内容

一口に清掃業といっても、その業務内容は害虫駆除からリフォームまで多岐にわたります。一般的に特殊清掃業者の主な業務は、以下の6つに代表されます。

室内清掃

腐敗物が付着した家具や床を清掃し、室内の状態を復旧させます。孤独死の場合は汚れた布団が残されているケースが多く、そうした物品の廃棄なども行われます。


殺菌消毒

遺体の放置されていた室内は、目に見えない細菌や病原菌で汚染されています。感染症の発生を予防するためにも、徹底した殺菌消毒は欠かせません。


消臭

腐敗物や血液から発生する異臭を、専用の薬剤や特殊な機材を用いて消臭します。一般流通している消臭剤とは桁違いの効果があるため、お部屋の消臭のみご依頼されるお客様もいらっしゃいます。


害虫(害獣)駆除

腐乱した遺体にはハエやウジといった害虫が湧き、放置していると大量に繁殖してしまいます。

また、お部屋がゴミ屋敷化しているケースでは、ネズミなどの害獣も発生していることも少なくありません。病原菌を媒介し感染症の原因となるおそれもあるため、一匹残らず駆除を行う必要があります。ただし弊社では有害生物の駆除を行うための資格である『ペストコントロール技術者認証』をもつスタッフが現場での作業を実施致します。

状況によっては効力の強い薬剤を使用することもあるため、正しい知識と経験を持って対応を行う必要があります。


リフォーム・解体

床や壁紙にまで体液が染みている場合、表面上を清掃しても根本的な解決には至りません。壁板や床板の解体からフローリングや畳の張替え、壁紙の交換をはじめとしたお部屋のリフォームまでサポートできる業者もあります。


遺品整理等

数は限定されますが、事業内容に遺品整理を組み込んでいる特殊清掃業者もあります。汚染した家財の洗浄や、損傷の激しい遺品の廃棄処分、状態がよい遺品の振り分けなど、一般的な遺品整理業者では対応できない部分までサポートが可能です。

特殊清掃が必要な理由

一般的な日本のライフスタイルでは、掃除を外注業者に依頼したことのないご家庭がほとんどでしょう。
そのため「特殊清掃業者に依頼しなくても、自分たちで清掃できるのではないか」とお考えになる方も中にはいらっしゃいます。しかし、上記の特殊清掃の業務内容をご覧いただければ、その清掃の難しさや必要性がお分かりいただけるかと思います。

においの問題

特殊清掃の現場でまず問題となるのが、その臭気の強さです。腐敗した遺体のあった部屋の臭いは通常の生活では考えられないレベルであり、一般流通している洗剤や消臭剤ではとても対応しきれません。そもそも一般の方では、マスクをしていても清掃中の臭いに耐え難いため、慣れた業者に依頼する方が得策と言えます。消臭は特殊清掃の要になるため、業者選びの際も消臭技術を重要すると良いです。


汚れの問題

血液や体液に関しても、通常の家庭用洗剤ではなかなか落としきれず、シミや臭いがなかなか取れないものです。血液や臭気が付いたものを廃棄するにも、普段のゴミ捨て場に出しては近隣住民とトラブルになるでしょう。


衛生面の問題

害虫に関しても、素人の駆除では完全に根絶させることは難しく、病原菌を媒介する虫が室外へ逃げ出してしまう恐れもあります。特殊清掃業者の必要性は、このような清掃技術面による理由も大きいのです。

特殊清掃の相場

特殊清掃はその現場ごとに価格が変動することが多く、相場価格の統計が難しいのが実情です。
ほとんどの料金表で明確な定価が提示されないので、見積りをしても基準がわからずお困りのご遺族の方も多くいらっしゃるかと思います。下記はあくまで平均的な現場を想定した価格ではありますが、特殊清掃の料金相場となります。

室内清掃35,000円(税別)〜
浴室清掃50,000円(税別)〜
除菌剤散布12,000円(税別)〜
オゾン消臭35,000円(税別)〜
害虫駆除15,000円(税別)〜
セット価格100,000円〜400,000円(税別)

基本的な清掃工程を合わせて、セット価格のプランを提案している業者も増えています。フローリング除去やリフォーム修繕を含めると、おおよそ500,000円〜700,000円が相場となるでしょう。遺品回収等は部屋の広さや物の量によるので、こちらではご紹介していません。

ここで挙げる相場はあくまでも参考価格であり、遺体発見までの日数や腐乱状態によっても差が出ます。夜間や早朝にしか依頼できない場合は、時間帯割増が掛かることもあります。しっかりと事前見積りで確認を取りましょう。

信頼できない業者を選ぶと起こりうるトラブルとデメリット

特殊清掃現場でもっともよくあるトラブルが、清掃前の見積りと清掃後の請求が違った、という料金問題です。
清掃後になってから「事前に聞いていたよりも状態がひどかった」と、事前見積りよりも金額を上乗せし請求される手口が広まっています。もちろん小額の誤差はやむを得ない場合もありますが、悪質な業者は数倍もの金額を請求する点が特徴です。

もう清掃が済んでしまった手前、泣く泣く支払ってしまったというご遺族の事例が増えています。
スタッフが到着したらまず状態を確認してもらい、そこで改めて料金を出してもらうと、見積りトラブルを防ぎやすくなります。

「やりなおし」の問題

また、「他業者がやった清掃のやりなおし」をご依頼いただくケースが増えているように感じます。
これは技術が低く清掃が行き届かない業者の存在と、そのせいでお困りのご遺族が多いことの現れと言えます。

決して安いとは言えない料金を支払ったにもかかわらず、臭いや害虫が残留してしまうと、ご遺族にとっても非常にストレスになります。このようなトラブルを防ぐためには、確かな技術と経験、装備を持つ業者を選ぶ必要があります。

低価格を重視して業者を選ぶと、かえって割高になるという結果になりかねません。ご遺族も突然のことで混乱されている中、人の不幸につけこむ悪質業者が一部存在することも事実です。そのような状況に巻き込まれないよう、冷静に業者を比較することがトラブル回避につながります。

優良な業者を見極めるポイント

優良か否かといった基準は数値化できるものではありませんが、下記は業者選びの比較検討においてポイントとなる点です。

他社に比べて極端に安すぎない

安さではなく技術力をアピールしている

現場で使用する薬剤や機材の説明をしてくれる

こうした条件を満たしている業者のみに見積りを依頼し、もっとも信頼できると感じた業者を選びましょう。