遺品整理と片付けを効率よく行う方法

遺品整理・片付けをはじめる前に確認すべきポイント

遺品整理は一生のうちで何度も行うものではなく、また誰もが経験するものではありません。そのため、いざ自分が遺品整理をしなければいけない立場となった時に、方法や手順がわからず作業が進まないとお困りになる方も少なくありません。遺品整理は、片付けなどの作業による肉体的な負担だけではなく、遺品と向き合うことによる精神的な負担も大きいものです。

お亡くなりになった故人様が生前にご愛用されていたものを片づけることは、気持ちの整理がつかずなかなか踏み切ることができない辛い作業となります。心身の負担を少しでも減らすためには、遺品整理を始める前に遺品を片づけることに前向きな気持ちになっていることが大切です。

遺品の処分は故人様を忘れることではない

故人様への「想い」と「遺品」は同じものではありません。遺品を整理することは故人への想いを断ち切ることではないからです。

遺品整理に前向きな気持ちになり片付けを始めても、途中で迷ったら一旦作業を中止して時間を置いてから作業を再開してもかまいません。現実的なお話として、大切に残しておくもの以外はリサイクル品や廃棄物として処分することになります。

まずは遺品を処分される気持ちの整理をつけてから、遺品整理を始めてみましょう。

残しておく遺品と処分するものを分別する

遺品には家具などの大型の物から、貴重品や衣類、雑貨類など様々なものがあります。故人が身近な人であるほど、すべてのものが「必要な物」「残しておきたい物」と思えます。しかし、遺品をすべて残すことは難しいのが現実です。

まずは大きく分類する

遺品の整理は「必要な物」「不要な物」とに分別することから始まります。遺品整理は「処分する」という考え方で臨むことが基本です。

衣類などは形見として残しておくことも多く、判断に悩むものです。そのため分別していく中で、どうしても迷うものが出てきますが、その場合は無理に分別せずに「保留」として残しておき、時間が経ってから考えていくのがスムーズに作業を進めるコツになります。

想い出に優先順位をつける

また、膨大な量の遺品を整理するために「想い出に優先順位をつける」ことが大事になります。自分なりに優先順位をつけ明確な基準を設けると、遺品を片づける時に迷うことが少なくなります。

遺品を目の前に分別に迷うと時間も体力も消耗してしまいますが、「迷ったら保留」にして落ち着いてから分別していくと良いでしょう。片付けの際の基準を「想い出の優先順位」「必要な物」と明確にすると、分別に迷う他の基準を排除することになります。

たとえば「使える物」という基準にしてしまうと、ほとんどの物が「使える物」になってしまい遺品整理が停滞することは目に見えています。衣類やバッグなどは状態が良ければ売却も可能ですし、リサイクルへ出すこともできます。捨ててしまうのは心苦しくても、また活用してくれると思うと気持ちも変わってくるかもしれません。

価値が判断できない

骨董品や美術品といった、一般の方にはその価値の判断が難しいものをコレクションされていた場合、安易に処分することが難しく、また身近なところで鑑定を依頼することも容易ではありません。

写真や手紙の整理

写真や手紙も処分に困るものですが、写真は良い写真を選んでアルバムを作成したり、パソコンなどにデータとして残したりする方法もあります。ただし写真などは見返すケースが少ないものです。

「写っているのが誰だかわかる写真」、手紙であれば「差出人がわかる手紙」などを処分の基準にすると良いでしょう。写真や手紙をゴミとして処分することに抵抗がある場合は、神社などで行う「お焚きあげ」に持っていくのも処分する方法のひとつです。

トラブルを避けるために

勝手に遺品を整理すると相続問題などで後々トラブルが起こる場合があります。そのため、遺品整理をする際は、ひとりで行わず、できるだけ故人と血縁関係のある人に連絡して集まってもらいましょう。

絶対に見つけておくべき重要書類

遺品整理で気をつけたいポイントに重要書類を見つけておくということがあります。預金通帳や土地の権利書、保険証書や株券などの「資産」にあたるものは、相続に関係してくるため早い時期に見つけておくべき書類です。

また、借金などのマイナスの資産も相続に関わるので、カード会社や金融機関からの請求書などのチェックも必要です。離れて住んでいるような場合は、書類が見つからずに相続に手間取るケースもあります。相続することを知ってから3ヶ月以内に相続するかどうかを決める「相続放棄」や「限定承認」などの手続きが必要になり、相続に関わる重要な書類は、早い段階で見つけておく必要があります。

遺言書やエンディングノートに、書類の場所やどんな資産があるかを書いてあれば良いのですが、書いていたとしてもノートの場所がわからなければ探さなくてはいけません。

親が元気なうちに整理する

遺品整理や相続でストレスを軽減させるためには、親が元気なうちに貴金属や重要な書類をどこに保管しているのかをノートなどに書いて整理しておいてもらうことが有効です。

親が元気な時に遺品の整理や重要書類の話題を出すことがためらわれるかもしれませんが、病気で入院や手術が必要になった時に、どんな保険に入っているかわからなければ保険を使うこともできません。そうした今後起こるであろうと予想される問題を説明し、親子で話し合っておくことも大切です。